
見えない世界を切り開く
精密切削機器
ミクロトーム

Microtome
ミクロトームとは
ミクロトームは顕微鏡などの光学観察における前処理装置として1μm(1/1000mm)単位の切片や美しい観察面を作成するための機器として医学、病理学から生物研究などに広く認知されています。
人間の手では作成不能な極薄切片を繰り返し採取可能な精度を持つ為、信頼性の高いデータ採取に欠かせないツールとして活躍しています。
近年、新型電池の開発やCFRPなどの硬質樹脂や複合材料からフィルム基盤、微細構造を分析する材料科学まで幅広く利用されるようになり、時には10nm(1/100000mm)単位の精度が求められる事も多くなりました。
今後も、顕微鏡やマイクロスコープからSEM、IR測定など観察機器を使用される研究活用の幅は未知数です。
現在も目に見えない微細な世界を可視化し、科学や技術の進歩を支えるツールとして進化し続けています。
Basic Structure
ミクロトームの基本構造
ミクロトームとは超高精度で再現性が非常に高いカンナと考えても良いかもしれません。
鋭い刃(カッティングブレード)で試料を薄く切断する装置であり、確実に試料を固定するホルダー、切断時の動きを制御する回転台やスライド機構、切片の厚さを調整する機能、そして安定した設置を支える台座で構成されています。
使用する刃はステンレス製替刃からタングステン替刃、ダイヤモンドナイフなど適時選択し最適な標本作成を目指します。

Types of Microtomes
用途によるミクロトームの選択
ミクロトームは目的により様々なオプションを組み合わせて使用します。
ユーザーの目的に適した構成を適時ご提案する為に薄切テストを重視し最適な構成をご提案しております。
滑走式ミクロトーム
スライドミクロトーム
主に医療現場などで組織標本を作成し、顕微鏡で観察するために使用されます。例えば、がん細胞の診断や病理組織の詳細な解析に欠かせない装置です。
回転式ミクロトーム
ロータリーミクロトーム
硬質樹脂、プラスチックなど硬度の高い素材から、観察に高い精度を求められる素材を切削するのに適しています。剛性が高く、様々な刃を活かせる事が特徴です。
標本凍結オプション
凍結標本固定器
試料を凍結した状態で切削するため、極薄のフィルムなど単体で自立出来ない試料や新鮮な生体組織の構造を保持したまま薄切片を作成するステージオプションです。
自動回転オプション
自動薄切
回転式ミクロトームの手動操作による誤差を最小限に抑えます。非常にゆっくりとした薄切が必要な素材に一貫性のある高品質な切片を確保できるオプションです。
Applications
ミクロトームの活用例
ミクロトームは主に以下の分野で活用されております。
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医学・病理学:組織切片の作成、疾患の診断
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材料科学:金属、プラスチック繊維などの分析、品質管理
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生物学・植物学:植物組織や細胞の観察
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研究開発用途に電極やフィルム基盤などの破壊検査


Materials for Microtome Cutting
ミクロトームで切削できる素材
ミクロトームは、生体組織、植物、金属、繊維、プラスチックなど、幅広い素材を高精度で切削するために使用されます。

細胞組織
癌細胞の診断や組織構造の解析。骨疾患や血管病変の解析を行う結合組織。神経変性疾患の研究を行う神経組織。血液疾患や免疫応答の研究を行う血液やリンパ組織。腫瘍の種類や進行度の診断などの切片作成。

植物
木本の硬さや繊維構造の解析。光合成や水分輸送の仕組みの研究。料理の加工方法による細胞破壊状況の解析。食品の品質評価や栄養分析。病害のメカニズムや進行状態の観察など。

樹脂/フィルム
膜の厚さ測定や均一性の評価。不純物の分布や析出物の解析。接合プロセスの改善や分散性の計測などマイクロスコープを始めレーザー顕微鏡/SEM/FTIR/偏光顕微鏡など観察するための標本作成に使用される。

繊維
繊維の細胞構造や形状の観察。カーボン繊維など高強度、高耐熱性繊維の微細構造解析。医療用繊維などの繊維の生体適合性や細胞接着性の評価。紫外線や熱による繊維の耐久性や劣化原因の特定など。