テクノビット/MMA 薄切実験
- りょう

- 10月13日
- 読了時間: 3分
更新日:10月24日
テクノビットやGMA、MMAなど樹脂包埋標本の薄切をしたいとお客様からお問い合わせを頂くことが多くなりました。
樹脂包埋は配合によってもかなり硬度が変化します。硬めに配合した物や大きなブロックなどの薄切に苦労されている様で、特にチャタリングやナイフマークなどが問題になるようです。
薄切方法には様々な方法がありますが、テクノビット7100は水溶性があるため、表面に水などを塗布する方法と塗布せず薄切する方法の2種類があります。
実際にどのような違いがあるのか検証が必要ですが、一般的に水を塗布しないほうが像がくっきりと見える様です。ただ、大きく硬いブロックではそれが難しいため、水などを塗布する傾向がありそうです。
今回、RX-860の剛性を活かしタングステンカーバイト製替刃の特性を引き出した実験を先生方のご協力を得て行うことができました。
「カタクチイワシ 生殖腺の薄切 テクノビット7100 包埋」


■ 薄切情報
薄切対象 カタクチイワシ 生殖腺
包埋樹脂 テクノビット7100
機器 RX-860 回転式ミクロトーム
使用刃 0.25T タングステン替刃(替刃厚み0.25mm)
薄切厚 3μm
染色 薄切直後にトルイジンブルーにて染色
これまでになく像がくっきりとしており非常に良好な薄切結果とご評価いただきました。
薄切自体は非常に容易でしたが課題は切片採取。
5μmではカーリングはほぼ発生しない為採取は容易だですが、3μmになるとカーリングが発生。これを如何に伸展させた状態で採取するかの作業的工夫が重要となった実験でした。
「マウス 背骨の薄切 MMA包埋」


■ 薄切情報
薄切対象 マウス 背骨部
包埋樹脂 MMA(メチルメタクリレート)
機器 RX-860 回転式ミクロトーム
使用刃 YTC65 タングステン替刃(替刃厚み1mm)
薄切厚 7μm
過去の実験では標本の硬度が高いため、薄切前に専用の溶液を塗布し薄切していたとの事。
今回ご導入いただいたミクロトームセットでは溶液を塗布することなく薄切可能であり、薄切後に発生していたブロック表面の傷も無く良好な標本が作成できた模様。
現状では切りはじめの部分がカーリングしてしまうため、今後専用の溶液を塗布し実験されるそうです。
今回の実験では標本の大きさ、硬さにより2種類のタングステン替刃を使い分けて実験しました。良い実験にはそれぞれの標本に適した機材の選定が重要となります。
薄切でお困りの際にはぜひご相談ください。
今回ご協力いただきました先生方には心より感謝申し上げます。
京都府立医科大学 細胞生物学 吉澤先生
近畿大学農学部 応用生命科学科 財前先生
福井県立大学 海洋生物資源学部 山本先生
(あいうえお順)
by りょう


