病理標本の薄切「素材毎の静電気発生量の違い」
- りょう

- 9月6日
- 読了時間: 2分
更新日:9月8日
薄切練習の時にパラフィンだけのブロックで練習した事はありませんか?
おそらくパラフィンだけのブロックは数μmの薄さでも切片が崩れず簡単に採取が出来たと思います。しかし、その後通常の標本入りブロックで練習すると切片が崩れ採取出来ない…
これはなぜでしょうか。
答えは「素材によって静電気の発生量が違う」からです。

この図であるように、パラフィンはほとんど静電気を発生しない特性を持っている為、薄切における静電気の影響をほぼ受ず簡単に採取出来ます。
しかし、動物や人体細胞は薄切時に大量の静電気を発生させるため切片採取が難しくなります。特にクロット(血液が固まってできた「凝血塊」など)は鉄分が多く含まれるため、非常に形になりにくグズグズになってしまいます。

また、パラフィン包埋されたブロックはパラフィンの中に標本が埋められている為、場所により発生する静電気量が変化します。そのため、少しの静電気発生で境界部分が割れたり引っ張られ形を保ちにくくなります。
それでは、実例を動画でご覧ください。
(この動画は動物標本を常温下で静電気対策をせずに薄切しています。)

この様に、パラフィン部分の薄切では切片がきれいにカーリングしますが標本に差し掛かった瞬間に崩れ始めます。
材料によって静電気の発生量が違うため、きれいな標本作成には静電気を発生させない事が重要となります。
By Ryou



